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2018年08月08日

気象観測機器

熱中症を防ぐためにヒート・インデックスに注意しましょう

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今年は日本国内は記録的な熱波に襲われ、東京でも40.8℃という最高気温を記録しました。熊谷市では41.1℃と過去最高気温を更新する等、全国の気象台の約7割で30℃超の気温を観測し、少なくとも927の観測点の内241か所で35℃以上を記録しているそうです(共同通信調べ)。このような過酷な猛暑の中、熱中症と思われる症状で亡くなった方も7月以降77名以上を数え、30,000人以上が医者にかかったと報じられました。また東京消防庁では1日に熱中症関連で救急車の出動が3,125人に上った日もあったという事です。気象庁では「この猛暑は人命の脅威であり、自然災害の一つです」と警告を発しています。

熊谷41.1℃

最近では熱中症を予防するためにWBGT指数(暑さ指数)を計測することが重要だとされており、例えば日本サッカー協会では、試合を行う際に、

■WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない)
■WBGT=31℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1[a]+[b]』を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む。
■WBGT=28℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1[a]』を講じる。

『JFA 熱中症対策※1』
[a]
① ベンチを含む十分なスペースにテント等を設置し、日射を遮る。
※全選手/スタッフが同時に入り、かつ氷や飲料等を置けるスペース。
※スタジアム等に備え付けの屋根が透明のベンチは、日射を遮れず風通しも悪いため使用不可。
② ベンチ内でスポーツドリンクが飲める環境を整える。
※天然芝等の上でも、養生やバケツの設置等の対策を講じてスタジアム管理者の了解を得る。
③ 各会場に WBGT 計を備える。
④ 審判員や運営スタッフ用、緊急対応用に、氷・スポーツドリンク・経口補水液を十分に準備する。
⑤ 観戦者のために、飲料を購入できる環境(売店や自販機)を整える。
⑥ 熱中症対応が可能な救急病院を準備する。特に夜間は宿直医による対応の可否を確認する。
⑦ Cooling Breakまたは飲水タイムの準備をする。

[b] ⑧ 屋根の無い人工芝ピッチは原則として使用しない。
⑨ 会場に医師、看護師、BLS(一次救命処置)資格保持者のいずれかを常駐させる。
⑩ クーラーがあるロッカールーム、医務室が設備された施設で試合を行う。
とした熱中症対策の指針を各競技会の関係者に通達しています。

WBGT指数とは、人間の熱バランスに影響の大きい「気温」「湿度」「輻射熱」の3つを取り入れた温度の指標です。湿度が高い場所では汗が蒸発しにくいので、身体から空気へ熱を放射する能力が減少してしまいます。そのため熱中症になる危険度が高くなるわけです。正確にその競技会場ごとのWBGT指数を測るには輻射熱を測定するための黒球を備えたWBGT指数計が必要です。

WBGT指数計

WBGT指数計

デービス社のウェザーステーションではこのWBGTに近い指数としてヒート・インデックス(Heat Index、熱指数)が計測できるようになっています。熱指数は気温と相対湿度を組み合わせて計算され、人間がその温度をどのように感じるかを示すもので「体感温度」とも呼ばれます。例えば気温が32℃で相対湿度が70%の場合、熱指数は41℃になります。同じ32℃でも相対湿度が40%であれば、熱指数は33℃にとどまり、温度の感じ方としてはだいぶ低く感じることになります。似た指数で、日本では「不快指数」というものが使われることがあります。こちらは乾湿球温度計の乾球温度と湿球温度の組合せにより計算されるものです。

熱指数(ヒート・インデックス)は1978年にジョージ・ウィンターリングによって開発され、1年後にアメリカのナショナル・ウェザー・サービスによって採用されました。風冷指数と同様に熱指数には、人体の質量と身長、衣服、身体活動量、血液の濃さ、日射量と紫外線被曝量、風速に関する仮定が含まれていますので、これらからの偏差が大きければ、体感される温度を正確に反映しない恐れがあります。カナダでは似たような指標としてhumidexが熱指数の代りに使用されています。humidixも熱指数も露点を使用して計算されますが、humidixはベースになる露点が7℃であり、熱指数は14℃であるところが異なっています。また熱指数は蒸気圧以外の変数を元にした熱平衡方程式を使って計算されます。

見かけの温度ともいわれるヒート・インデックスは人体の快適性を考慮するために重要な指標です。この夏の猛暑の中では東京の弊社屋上に設置したウェザーステーションでも40℃を超えるヒート・インデックスを記録した日が何日もありました。そうした日は熱中症の危険度が非常に大きくなりますので、外出を控えたり、屋外での運動は避けることが必要です。是非皆さんも屋外気温ばかりでなく、ヒート・インデックスのデータにも注目してみて下さい。

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